ILTA GRADUATE INTERVIEW
会社員を辞めて独立へ。
黒田さんが掴んだ「自分でキャリアを決める力」
「いずれは独立したい」——そう思いつつも、きっかけがなければ動けない。不当評価、キャリアの行き詰まり、一人で始めた副業の失敗。 それでも黒田さんが高い受講料を「時間を買う投資」と捉え、ILTAに飛び込んだ理由とは。
良いモノが正当に評価される世の中を
まず改めて、簡単な自己紹介と、いま手掛けている事業・活動を教えてください。
粒見
黒田
黒田と申します。2019年にビールメーカーへ入社し、研究所での研究開発を経て、2024年からは設備投資案件の統括に携わってきました。大学院で培った専門性を活かすポジションです。
来月(2026年9月)、最終出社を迎えます。今後はまだ法人化前ですが、「eSTEM+(エステムプラス)」という事業をやっていきます。商品やサービスの価値を論文・公的資料をもとに価値づけし、より良く・わかりやすく伝える事業を展開していく予定です。
その仕事をやろうと思ったきっかけは、どこにありましたか?
粒見
黒田
いくつか事業を試すなかで、参加費1,000円くらいの交流会に行ったんです。そこで出会った方が、商品の売り方として「成分に何が入っている」「有名人が飲んでいる」といった、根拠と言えない根拠を並べていた。
「なぜこんな売り方をするんだろう」と思い調べると、実際には成分の濃度がさほど高くなかったり、逆にすごくいい根拠を見逃していたり、そもそもネーミングに無理があったりする。つまり根拠の薄い売り方がまかり通る一方で、良いモノが正当に評価されていない。そこをお客さまにきちんと届けられる人が、市場には足りていない——そう感じたのがきっかけです。
黒田雄亮さん
ILTA卒業後に独立し、理系の思考と科学の知見でビジネスの課題を解決する「eSTEM PLUS(エステムプラス)」を運営。公式サイト
粒見 桃加
株式会社BellSfida 代表取締役。次世代起業家育成アカデミー「ILTA」代表。一人ひとりの挑戦に本気で寄り添う環境づくりを掲げ、これまでに多数の起業家・個人事業主を輩出。
尖っていた少年時代と、会社での転機
もともと独立したい願望はあったんですか?
粒見
黒田
「いずれは」くらいでした。期限が決まっていたわけではなく、どちらかといえば異なる働き方をしてみたいという感覚もあったと思います。前の研究開発時代がかなりハードだったので、なおさら。
昔の黒田さんは、どんな人でしたか?
粒見
黒田
尖っている方がかっこいい、と思う中二病でした(笑)。卓球部の活動にはまりすぎて勉学を疎かにし、親の勧めで卓球部の無い学校に入学しました。でも結局テニスをやりながら卓球部創部に奔走したり。
誰かがやらないなら自分がやる。思い通りにいかない環境でも、何とかして自分の良い環境にする——そういう姿勢は、昔からあったなと思います。
「自分でキャリアを決められない」——その実感が、動き出す起点になった。
挑戦を始めるには、だいたいきっかけが要りますよね。一番の転機は何でしたか?
粒見
黒田
はっきりしたターニングポイントがあります。実は会社員時代に自分ではコントロールしきれない人事評価を受けました。間違いなく、これまでの人生で一番の底に達した日。今思い出しても気持ち悪くなります(笑)。
期中の異動があり、前年分(前場所)の評価結果を新しい上司から聞いたんです。上司は「黒田さんの働きからはあり得ない評価内容だ」と私よりも怒ってくれました。それを見て、あぁ、もしかしたら自分の頑張りが伝わっていなかったのかもな、と。
新しい上司からは「ここから頑張ろう」と言ってもらえた。この職場には本当に恵まれていたと思います。でもその時点の私のキャリアのほとんどは前場所で、同期とも差がついているはず。このまま会社に残っても自分でキャリアを歩めないという感覚が強くなった。
もちろん、自分の努力不足も大きい。例えば前場所のトップを捕まえて「なぜこの評価なのか」「改善点はどこか」と飲みに連れていく、というような交渉や誤解を解く努力も私はしていなかった。社会人としての未熟さも痛感しました。
当時いちばん描いていた理想の働き方は?
粒見
黒田
当時はですが、平日にも予定を入れられるような、時間的な自由です。それが自分の核にある理想でした。
それに、周りと比べても、活躍する場を変えたほうがいいんじゃないかと感じ始めていました。同期が会社という枠組みで成果創出して評価されていく中、自分は評価にならないような0→1の技術開発が楽しくて。新しいことをやるのに躊躇いがないので知人からは「黒田は優秀だ」と言われても、会社の評価はまったく違った。だったら、違う場所で輝ける場所があるはず、自分で創ろう——そう思ったんです。
※転職エージェントとの対話では「3年後に独立したいなら、スキル目的の転職を繰り返すより、今がタイミングでは」と言われたことも、決断を後押ししたそうです。
それでもILTAに入った理由
ILTAは金額も金額ですし、他にもビジネススクールやコーチングがある。そのなかで「入ってやってみよう」と思えた心境を聞きたいです。
粒見
黒田
正直、そういうスクールがあること自体、よく知りませんでした。変化は求めていて、副業を始めたり、資格勉強を並行したり——過去には一つのプランに賭けすぎて、失敗したときの絶望が大きかった経験もある。
だから「複数走らせておくべきだ」とも思った。悩んでいる時間さえもったいない。
だったら、受講料を“どぶに捨てる”覚悟でもいいから、独立までの時間を1ヶ月でも短くしたい——その感覚で踏み切りました。
一番不安だったのはどこですか?
粒見
黒田
結果が出るかわからない、という不安ですね。あと、面談で会った方が最初は詐欺師っぽく見えて(笑)。でも調べたら本当のようだし、これまで出会ったことのないタイプの大人だった。
刺激が欲しかったというのもありました。誰かに教えてもらうのなら、全然違うタイプの人と組むことで何かが動くはず——そう期待していました。
高いのは値段だけじゃない。迷っている時間のほうが高い——そう判断した。
一番しんどかったこと、一番変わったこと
約1年受けてみて、いちばん印象に残っていることは?
粒見
黒田
事業を立ち上げる過程での様々な方との出会いです。自分のフィールドと全然違う人と話すうちに、自分の立ち位置が見えてきた。独立をやめようと思ったタイミングも何度かあって、それは決まって“変な人”に出会ったとき(笑)。でも視点を外すと発見につながる。だから私は、紹介されたアポイントは全部会ったほうがいいと思っています。
いちばんしんどかったこと、それでも変わったと思う部分は?
粒見
黒田
現在の事業の前に立ち上げようとして始めた事業が、表面上はうまくいきそうに見えていいサービスではないのではと気づいたときがいちばん苦しかった。自分が本当の意味で良いと思っていないものを売っている——行動と価値観のあいだにズレが生まれていた。
ILTAのメンター制度をどう活用しましたか?
粒見
黒田
メンターの使い方は、たぶん他の方とは少し違っていて。壁打ち相手になってもらいながら、とんでもないことをやり始めたら止めてもらう——そんな距離感でした。一人で浮き沈みしながら進めるのと、「それいいんじゃない!」の一言をもらって進めるのでは、だいぶ違う。
メンターについては、お金を払って関わってもらう関係のほうがアドバイスについても信頼できました。何より相手もフランクながらビジネスとしてやっているので気を使わなくていいのは楽ですね。
自分は思いついたらすぐ動くタイプなので、過去にブログが流行った時もそれを知った3時間後には始めていたりする。ただ継続力は弱い。だからこそ、動きすぎを止めてくれる役割や、継続を後押ししてくれる役割など、自分以外の力の借り方が大事でした。他の受講生においても、最後の3か月くらいはほぼ自走100%で回していくくらいの感覚の方がいいんじゃないかと思います。
これから挑戦する人へ
ILTAはどんな人に対して、どんな価値があると思いますか?
粒見
黒田
自分としては“飽き性”の人に向いていると思います。横から伴走してくれる人がいると、だいぶ楽になる。
これから事業としてどんな世界を目指していますか?
粒見
黒田
ミッションは、良いモノが正当に評価される世の中を作ること。科学が正当に評価されれば、エセ科学のようなものは自然と淘汰されていくはず。そんな世の中にしていきたいと考えています。
なるほど、そんな中で、どんな相手にサービスを届けていきたいですか?
粒見
黒田
事業の展望として、これまでは技術系の販売代理店を中心にしていたが、これからはそうした代理店を抱えるメーカーさんにも価値提供をしていきたい。商品を売るためには技術への深い知識や愛が必要で、そういった方々の力になりたいと考えています。
あとは無形商材で「価値はあるはずなのに説明できない」「根拠が薄い」と悩む方からも依頼を受けています。AIで調べればそれっぽいことは書けますが、AI以上の情報と判断がないとバレる。そこを一緒に仕上げたいです。
最後に、伝えたいことはありますか?
粒見
黒田
メーカーさんには、これからたくさんアプローチすると思います。初めての形の事業だから、不審に思われることもあるでしょう。でも名前を調べてこのページに辿り着いた方には、熱い思いと、社会的な貢献性をもってやっていることだけは、わかっていただきたいです。
1年間、お疲れさまでした!
粒見
黒田
ありがとうございました!
